水中の消毒用の塩素は、他の物質と反応していない「遊離残留塩素」と、水中のアンモニア化合物と反応してできた「結合塩素」の2種類が存在します。 またこの2種類の塩素を合わせて「総残留塩素」と呼びます。
遊離塩素の「遊離」は英語では「フリー」と訳され、その名の通り“自由”に水中に漂っています。遊離塩素は何も結合していない“フリー”な状態なので反応性も高く、消毒力も強力です。一般に「残留塩素」とは、この遊離塩素を指します。
いっぽう結合塩素はアンモニア化合物が「結合」しているため汚れやバイ菌への反応力は遊離塩素よりも劣り、消毒力は遊離塩素よりも弱いという特徴があります。
クロラミンは遊離塩素よりも消毒力が劣ってしまうのに、近年クロラミンを用いた消毒が浴槽水管理で注目されています。
その理由として、以下があげられます。
いずれのメリットもモノクロラミンの“結合”状態に由来しています。つまり、遊離残留塩素と比べて“反応性が低い”からこそ、ゆっくりじわじわ消毒効果を発揮するイメージとなります。
クロラミンは浴槽水の消毒剤としては2013年静岡県条例に初めて記載され、また2015年3月「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」(厚生労働省)に追記されました。
さらに2022年から「公衆浴場における衛生等管理要綱」(厚生労働省)において「3㎎/L程度」とする基準が新設されました。これにより東京都をはじめとする地方自治体でも、モノクロラミン消毒の基準値設定の動きが相次いでいます。
結合塩素(クロラミン)は単独で測定する試薬が存在しません。
このため、
①まず遊離残留塩素濃度を測定
②上記で呈色させた検水へ試薬№3を添加し総残留塩素を検出
③総残留塩素濃度から遊離残留塩素濃度をマイナスした値が結合残留塩素となります。
浴槽水の塩素管理、クロラミン消毒の測定には簡易型残留塩素計SP-7がおすすめです。
鈴研の簡易型残留塩素計SP-7は浴槽水の塩素管理に特化した設計を行っています。
一般の浴槽水消毒基準値である「遊離塩素は0.2~0.4(最大1.0を超えない)mg/L」に加え、
クロラミン消毒(公衆浴場における衛生等管理要領)は「3.0 mg/L以上」とする基準値、また循環配管の維持管理基準(循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル)である「遊離塩素5~10 mg/L」のいずれも測定レンジに含んでおり、浴槽水の塩素濃度管理に最適です。
測定対象 | 遊離残留塩素・総残留塩素(結合残留塩素) |
---|---|
セット内容 |
本体 丸型試験管(フタ付き・2個入り) 遊離塩素測定用粉末分包№5 50回分 総残留塩素測定用液体試薬№3 30ml |
測定範囲( mg/L) | 0.2/0.4/0.7/1.0/1.5/3.0/5.0/10.0 (mg/L) |
分包試薬№5を添加します。
液体試薬№3を添加します。
呈色とレンズを見比べます。