浄化槽の管理(法定項目)

浄化槽の管理(法定項目)

浄化槽法

浄化槽の設置、保守点検その他浄化槽に必要な様々な規制の上位に位置する環境省所管の法律です。主な法定検査としては法7条による設置後の検査、法11条による定期検査が定められています。なお浄化槽法内には測定すべき項目や測定方法について具体的には書かれておらず、詳細は環境省令、施行規則や環境大臣の定める方法等を参照しなければならず、複雑な構造となっております。
弊社では法律専門職による浄化槽法セミナーも随時行っております。ご依頼に関してはこちらよりお問い合わせください。

残留塩素

塩素剤は人体に有害な病原微生物を消毒するために添加されており、浄化槽では放流水は塩素剤で消毒するよう法律で義務付けられています。

浄化槽放流水中には様々な物質が溶け込んでいるため、遊離残留塩素化結合残留塩素か、その存在形態の把握が重要です。
詳細は残留塩素とは?へ

pH

pH:水素イオン濃度とは、水の酸性・中性・アルカリ性を示す指標です。(詳細はpHとは?へ
一般に有機性汚濁物質を含む汚水が浄化されると放流水のpHは変化します。
たとえば後述する水中の窒素除去工程では、硝化・脱窒が進むにつれてpHは減少します。またpHの高低は消毒効果の変化に直接影響を及ぼすため、こまめな測定が重要となります。

ちっ素

ちっ素は三大栄養素の1つでもあり、河川や湖沼に大量に流入してしまうと藻類の増殖を引き起こし、富栄養化の原因の1つとなってしまいます。
このため最近の浄化槽はおおむねちっ素除去性能を備えており、下記の流れで流入してきたアンモニアを窒素ガスにまで分解し、放流水からの除去を試みています。

アンモニア→亜硝酸態ちっ素→硝酸態窒素→ちっ素ガス

このときGR試薬を用いて亜硝酸態ちっ素濃度を測定すると、ちっ素除去の進捗状況を把握することができます。

塩化物イオン

し尿中にはおよそ5500 mg/Lの塩化物イオンが含まれています。通常の生物処理ではあまり分解を受けないため、洗浄水と放流水の塩化物イオン濃度を測定することにより、希釈倍率を計算し、洗浄水量を把握することができます。

滴定操作による塩化物イオン濃度は下記の式より求めます。

a : 試料水の滴定に用いた硝酸銀溶液ml数
b : 水の滴定に用いた硝酸銀溶液ml数
f : 0.0282 mol/L 硝酸銀溶液のファクター

なお、鈴研の測定キットには自動計算尺が含まれているため、面倒な計算なしに付属の硝酸銀溶液の滴下量から簡単に塩化物イオン濃度が求められます。